こんにちは。Noiseです。
Noiseはメーカー勤務でEMCエンジニアとして勤務しています。
今回は、EMCの仕事をしていれば必ず耳にする、「特性インピーダンス」について紹介しようと思います。

電気回路の理解と設計において、 特性インピーダンスは重要な概念ですね。
電気信号が回路内を流れる際に、その回路がどのように振る舞うかを理解するために欠かせない要素です。
本記事では、特性インピーダンスの基本概念から応用例までを解説し、読者がこの重要なパラメータを理解し、電気回路設計において活用できるように導きます。
特性インピーダンスの世界に足を踏み入れ、電気回路の複雑な仕組みを探求してみましょう。
この記事を読むとわかること。
- 特性インピーダンスの定義と重要性: 電波や電気信号がスムーズに伝わるために必要な「特性インピーダンス」の役割と重要性を理解できます。
- 特性インピーダンスの計算方法: 伝送媒体の種類や形状に基づいて、特性インピーダンスを計算する方法を習得できます。
- 特性インピーダンスの調整方法と応用例: 特性インピーダンスを調整する方法と、高速通信、高画質映像伝送、精密な計測など、様々な分野での応用例を学べます。
最後まで読んでいただけますと幸いです。
特性インピーダンスとは?
特性インピーダンスとは、 電磁波や電気信号が伝わる媒体における電圧と電流の比を表す物理量です。
別名では 「固有インピーダンス」とも呼ばれます。
単位は Ω(オーム)で表されます。
特性インピーダンスは、伝送媒体の形状や材質によって決まります。
例えば、
- 真空中の特性インピーダンスは約377Ω
- 同軸ケーブルでは50Ω
- マイクロストリップラインでは75Ω
などです。
特性インピーダンスの重要性
特性インピーダンスは、信号伝送において以下の重要な役割を果たします。
反射の抑制
特性インピーダンスが一致している場合、 信号は反射せずに伝送されます。
一方、特性インピーダンスが不一致の場合、 信号は反射し、伝送線の終端に到達する前に信号が減衰したり、歪んだりする可能性があります。
最大電力伝送
特性インピーダンスが一致している場合、 信号源から伝送線へ最大限の電力伝送が行われます。
これは反射がないこととも関係していますね
信号の立ち上がり時間
特性インピーダンスが一致している場合、 信号の立ち上がり時間が短くなり、高速な信号伝送が可能になります。
特性インピーダンスの計算方法
特性インピーダンスは、伝送媒体の形状や材質によって異なるため、計算方法も異なります。
iNARTEでよく出題される内容については別記事で紹介したいと思います。
以下に、代表的な伝送媒体の特性インピーダンスの計算式を紹介します。
真空
電磁波の特性インピーダンス $Z_0$ は、次のように定義されます。
$$ Z_0 = \sqrt{\frac{\mu_0}{\varepsilon_0}} \approx 377\Omega $$
同軸ケーブル
同軸ケーブルの特性インピーダンス $Z_0$ は、次の式で表されます。
$$ Z_0 = \frac{\sqrt{\mu_0 / \varepsilon_0}}{2\pi} \cdot \ln\left(\frac{b}{a}\right) $$
以下の図は同軸線の断面図になります。

マイクロストリップライン
$$ Z_0 = \frac{87}{\sqrt{\varepsilon_r + 1.41}} \cdot \ln\left( 7.48 \cdot \frac{h}{w} \right) $$
以下の図はマイクロストリップラインの断面図になります。

使用した記号の解説
$μ_0$:真空の透磁率($H/m$)
$ε_0$:真空の誘電率($F/m$)
$a$:中心導線の半径($m$)
$b$:外側の導体の半径($m$)
$ε_r$:比誘電率
$w$:導体の幅($m$)
$h$:導体と接地層の間の距離($m$)
特性インピーダンスの調整方法
特性インピーダンスは、 伝送媒体の形状や材質を変えることで調整できます。
例えば、同軸ケーブルでは、 中心導線の半径や外側の導体の半径を変えることで特性インピーダンスを調整できます。
マイクロストリップラインでは、 導体の幅や接地層の間の距離を変えることで特性インピーダンスを調整できます。
特性インピーダンスの応用例
特性インピーダンスは、様々な電気・電子機器で使用されています。
以下に、代表的な応用例を紹介します。
高速デジタル回路
高速デジタル回路では、 信号の反射を抑えるために、特性インピーダンスが一致した伝送線を使用します。
アンテナ
アンテナでは、特性インピーダンスを調整することで、 電波の放射効率を向上させることができます。
RF回路
RF回路では、特性インピーダンスを調整することで、 信号の損失を抑えることができます。
特性インピーダンスに関するよくある質問
Q1. 特性インピーダンスとインピーダンスの違いは何ですか?
A1. 特性インピーダンスは、 伝送媒体における電圧と電流の比を表す物理量です。
一方、インピーダンスは、 電気回路における電圧と電流の比を表す物理量です。
特性インピーダンスは、伝送媒体の種類や形状によって決まりますが、インピーダンスは、電気回路の構成要素によって決まります。
Q2. 特性インピーダンスが一致していない場合どうなる?
A2. 特性インピーダンスが一致していない場合、 信号は反射し、伝送線の終端に到達する前に信号が減衰したり、歪んだりする可能性があります。
Q3. 特性インピーダンスを測定するにはどうすればよいですか?
A3. 特性インピーダンスを測定するには、 インピーダンス測定器を使用します。
インピーダンス測定器には、様々な種類があります。代表的なものは、以下の通りです。
LCRメータ:LCRメータは、抵抗、インダクタンス、コンデンサのインピーダンスを測定することができます。
ネットワークアナライザ:ネットワークアナライザは、周波数帯域におけるインピーダンスを測定することができます。
Q4. 特性インピーダンスを学ぶにはどのような資料がありますか?
A4. 特性インピーダンスに関する資料は、書籍やウェブサイトなどで入手できます。
以下に、代表的な資料を紹介します。
Q5. 特性インピーダンスについてもっと詳しく知りたい場合はどうすればよいですか?
A5. 特性インピーダンスについてもっと詳しく知りたい場合は、上記の資料を参照したり、専門家に相談したりすることをおすすめします。
社内にいるiNARTEの保有者に確認することもおすすめです!
まとめ
特性インピーダンスは、信号伝送において重要な役割を果たす物理量です。
特性インピーダンスを理解することで、信号伝送の品質を向上させることができます。
またiNARTEの資格試験や実務でも必ず必要になってくるのでしっかりと理解しましょう!
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