EMCエンジニアの休日

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【LISNとは】LISNや電源疑似回路網、ANって何?

 

こんにちは。Noiseです。

Noiseはメーカー勤務でEMCエンジニアとして勤務しています。

今回はEMC評価で必ず使用する、LISNについて書いていきます。

 

最後まで読んでいただけると幸いです。

 

 

LISNとは?

そもそもLISNとは何でしょうか。

一言でいうと

インピーダンスを管理するフィルタ」です。

車載向けの試験(CISPR25)では、下記のものが使用されていることが多いですね。

f:id:emc_noise:20220105202011p:plain

LISN
引用:ネクステム株式会社

http://www.nextem.co.jp/lisnj.html

 

CISPR25については過去記事でまとめていますので、参考にしてください。

 

emc-noise.hatenablog.com

 

 

LISNには下記のように様々な呼び名があります。

  • LISN(Line Impedance Stabilization Network)
  • 電源疑似回路網
  • AMN(artificial mains network)

これらすべては同じような認識でOKです。

 

内部回路

フィルタということなので、もちろん内部回路があります。

内部回路は下記が一般的です。

f:id:emc_noise:20220105202557p:plain

LISN内部回路

LISNの内部回路はπ型フィルタですね。

ちなみにこちらはQucsという回路シミュレーターを使用して作成しています。

 

使用する理由

使用用途としては下記3点があります。

  1. インピーダンスの管理
  2. 伝導エミッションの測定
  3. 電源ノイズのフィルタリング

順にみていきましょう。

 

インピーダンスの管理

内部回路の部分でも示したように、LISNはπ型フィルターになっています。

インピーダンス管理とはEUT側(製品、供試品側、右側)から見たインピーダンスを管理しています。

f:id:emc_noise:20220105203508p:plain

 

インピーダンスは下記になります。

横軸が周波数で1kHz~100MHz、縦軸がインピーダンスです。

f:id:emc_noise:20220105203655p:plain

グラフからわかるように70kHzで共振していることがわかります。

これはL1の5uHとC2の1uFの要素で発生する直列共振ですので、この付近の周波数で動作する製品は注意が必要です。

またCISPR25での測定は150kHzからなので、150kHzのLISNのインピーダンスが低い=伝導ノイズ流れやすいので注意が必要です。

 

また10MHz付近の周波数をみると47.1Ωくらいに安定していることがわかります。

これがLISNの役割の一つでもある、インピーダンスの管理となります。

約50Ω(1kΩと50Ωの並列合成抵抗)で管理することがLISNの役割ですね。

インピーダンスを管理することによって、どこの外部サイトで測定しても再現性のあるデータが取れるようすることが目的です。

伝導エミッションの測定

CISPR25の電圧法ではLISNを使用した測定があります。

測定は下記のようにR2の50Ω抵抗をLISNの選択スイッチで外部接続し、EMIレシーバーと接続して測定します。f:id:emc_noise:20220105205717p:plain

つまり、C1ラインを流れる電流からの起電圧を測定する認識ですね。

この電圧の限度値をCISPR25では規定しています。

 

電源ノイズのフィルタリング

LISNの電源側には製品を動作させるために必要な電源を接続します。

バッテリやドロッパー電源など、スイッチングしない電源では問題がありませんが、スイッチング電源を使用すると、スイッチング電源のノイズが製品に重畳してしまい、測定したデータがどちらのノイズ成分なのかわからなくなってしまいます。

そのために、LISNのフィルタリングは必要となります。

※厳密にはスイッチング電源とLISNの間には、電波暗室用のフィルタが入っているので、大まかなノイズは減衰させることができます。

下記は電源側から見た減衰特性です。

横軸が周波数で1kHz~1GHz、縦軸がS21の減衰特性です。

100kHzで23dBほどの減衰特性があります。

f:id:emc_noise:20220106205714p:plain

 

まとめ

今回はLISNについての説明を記載しました。

LISNはEMC評価を実施するには必ず必要なものなので、ぜひ内部回路や特性は覚えておくようにしましょう。

 

以上です。

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