こんにちは。Noiseです。
Noiseはメーカー勤務でEMCエンジニアとして勤務しています。
今回は、電気通信において重要な概念である反射係数τとVSWRについて解説していきます。
これらの概念は、伝送路での信号の反射を測定するために使用され、設計やトラブルシューティングにおいて重要な役割を果たします。
具体的な数式を用いた解説も行うので、ぜひ最後までご覧ください。
iNARTEのテストでも必ずといっていいほど出てくる数式です!
【iNARTEについてはこちらの記事で解説】
この記事を読むとわかること。
- 反射係数τとVSWRは、伝送路での信号の反射を測定するために使用される概念である。
- 反射係数τは、伝送路の入力インピーダンスと出力インピーダンスの差を伝送路の入力インピーダンスと出力インピーダンスの和で割ったものであり、VSWRは反射係数τから導き出される。
- VSWRの理解は、電気通信における設計やトラブルシューティングにおいて重要な役割を果たす。
最後まで読んでいただけますと幸いです。
反射係数τとは何か?
概要
反射係数τは、電気信号が伝送路の終端に達した際に反射される割合を表す指標です。
具体的には、伝送路の入力インピーダンス(Z1)と出力インピーダンス(Z0)の差を伝送路の入力インピーダンスと出力インピーダンスの和で割ったものを表します。
Z0とZ1の関係は以下のイメージです!
反射係数τの値が0に近いほど伝送路の終端での反射が少なく、1に近いほど反射が多くなります。
回路シミュレーション
では回路シミュレータのQucsで実験してみましょう!
入力インピーダンスを0、50、100、1000、1GΩで振った時の反射係数になります。
このように50Ωであれば入出力インピーダンスの整合が取れているので0となり、0Ω(ショート)や1GΩ(オープン)のような不整合状態では1やー1といった値になります。
上記のような回路シミュレーターの使い方についてはこちらの記事で
計算式
反射係数τの数式は以下のように表されます。
Γ=(Z1-Z0)/(Z1+Z0)
VSWRとは何か?
VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)は、伝送路の反射係数τから導き出される指標で、伝送路での信号の反射の度合いを表します。
具体的には、伝送路の反射係数τから以下のように導き出されます。
VSWR=(1+|Γ|)/(1-|Γ|)
VSWRの値が1に近いほど反射が少なく、VSWRの値が大きくなるほど反射が増えます。
VSWRの最大値は無限大で、この場合には反射が完全に起こってしまいます。
反射係数τとVSWRの関係
反射係数τとVSWRには以下のような関係式があります。
Γ=(VSWR-1)/(VSWR+1)
VSWR=(1+|Γ|)/(1-|Γ|)
この式から分かるように、反射係数τが小さいほどVSWRの値は小さくなり、伝送路での信号の反射が少なくなります。
逆に、反射係数τが大きくなるほどVSWRの値は大きくなり、伝送路での信号の反射が増えます。
VSWRの値は、伝送路の特性インピーダンスと伝送路の終端での負荷インピーダンスの比率にも依存します。
例えば、特性インピーダンスが50Ωである伝送路に、負荷インピーダンスが50Ωの場合、VSWRは1となります。
まとめ
今回は反射係数τとVSWRについてまとめていきました。
反射係数τとVSWRは、伝送路での信号の反射の度合いを表す重要な概念です。
反射係数τは、伝送路の入力インピーダンスと出力インピーダンスの差を伝送路の入力インピーダンスと出力インピーダンスの和で割ったものを表し、VSWRは反射係数τから導き出されます。
VSWRの値が1に近いほど反射が少なく、VSWRの値が大きくなるほど反射が増えます。
VSWRの理解は、電気通信における設計やトラブルシューティングにおいて重要な役割を果たしますね。
この概念を覚えるとEMCの現象の理解にもつながりますね!
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以上です。
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