こんにちは。Noiseです。
Noiseはメーカー勤務でEMCエンジニアとして勤務しています。
今回は、EMC業界ではよく耳にする、ミックスドモードSパラメータ(mixed-mode S-parameter)解析について紹介していきます。
フリーソフトのQucsを用いれば誰でも簡単に扱うことができるので気軽に試してみましょう~!
Qucsの導入方法については以下の記事にまとめています!
この記事を読むとわかること。
- ミックスドモードSパラメータ解析の基礎: 記事は、ミックスドモードSパラメータの基本的な理論とその重要性について詳しく説明しており、高周波回路設計におけるその役割を明らかにします。
- Qucsを用いたシミュレーション手法: Qucs(Quite Universal Circuit Simulator)を使って、ミックスドモードSパラメータ解析のための回路設計からシミュレーションの実行、結果の解析までの具体的な手法が提供されます。
- 応用事例とトラブルシューティング: 記事は、ミックスドモードSパラメータ解析の応用事例を紹介し、また、Qucsを使用した際の一般的な問題のトラブルシューティング方法を提供します。これにより、読者は実際のプロジェクトでこの技術を活用するための洞察を得ることができます。
最後まで読んでいただけますと幸いです。
初めに
回路設計と解析は電子工学の重要な側面であり、Sパラメータ解析はその中でも特に重要なテクニックの一つです。
Sパラメータについては以下の記事でまとめています!
ミックスドモードSパラメータ解析は、高周波回路やマイクロ波回路の設計において不可欠なスキルです。
この記事では、Qucsという回路シミュレータを用いてミックスドモードSパラメータ解析の手法について解説します。
まずは基本から始めて、Qucsを使ったシミュレーションの手法を学びましょう。
Qucsを用いたSパラメータ解析については以下の記事でまとめています。
ミックスドモードSパラメータの基本
Sパラメータは、電子回路の伝達特性を定量的に評価するための指標であり、ミックスドモードSパラメータは異なるモード間での相互作用を調査するために使用されます。
ミックスモードの理解に必要なディファレンシャルモードとコモンモードについては以下の記事でまとめています
これは高周波回路やマイクロ波回路において特に重要で、信号の伝達や反射特性を正確に評価するのに役立ちます。
具体的には以下の図のように表します。
一般的な4ポートのSパラメータは以下のイメージで、すべて単一ポート間の特性を表します。
一方ミックスドモードSパラメータのイメージは以下のイメージです。
ミックスドモードSパラメータは2つのモードの相関関係を示しています。
つまり2つのモードとは以下を示していますね。
- ディファレンシャルモード
- コモンモード
例として
- Sdd11とはPort1のディファレンシャルモードの反射特性を示します
- Scc11とはPort1のコモンモードの反射特性を示します
- Scc21とはPort1のコモンモードからPort2のコモンモードの通過特性を示します
ほかにもEMCの現象として問題になるScd21=Port1のディファレンシャルモードからPort2のコモンモードへの変換特性の相関を確認することも可能です。
Qucsのインストールと設定
Qucsを使ったミックスドモードSパラメータ解析を始めるために、まずQucsをインストールし、基本的な設定を行う必要があります。
Qucsのインストールは以下の記事を参考にしてください。
回路の設計とシミュレーション
Qucsを使った回路設計の基本ステップと、ミックスドモードSパラメータ解析に適した回路の構築方法について説明します。
①まずは以下のサイトにSパラメータ解析のフォーマットファイルがありますので、ダウンロードしてください。
②以下のファイルがダウンロードされると思いますのでQucsのProjectsの枠内にドラッグ&ドロップしてください。
ダウンロードされたファイル名:Simulation_SParameter.qucs
③するとSパラメータの解析事例がたくさんありますので、その中のmixed-mode.schを選択します。
④以下の参考回路がありますので、このままシミュレーション選択するとミックスドモードSパラメータ解析が可能です!
⑤Sパラメータからmixedmodeへの変換は以下の式で実施しているので、この数式を応用したフォーマット回路ということですね!
解析の応用
上記の数式を応用してmixedmode解析を実施してみたいと思います。
①フォーマットschファイルを「save as」で名前を付けて保存し、別のschファイルを作成します。
②各出力ポートは残して内部の回路は削除します。
③適当なフィルタを接続し、Sパラメータとミックスモードの結果を比較してみます。
入れたのは1uFのXコンデンサ、Port1には150uHのノーマルL、Port2には15uHのノーマルLです。
Xコンデンサが入っているので予測としては、ディファレンシャルモードの通過特性が低くなってそうですね。
④結果は以下です。
横軸が周波数で10kHz~100MHzを対数軸で表しています。
縦軸が通過特性のdB表記です。
S31は150uH、S42は15uHのため通過特性は20dB(10倍)差が出ています。
Sdd21とScc21を比較すると、Xコンデンサの影響でSdd21特性が大きく減衰しているのがわかります。
以上が簡単な回路でのミックスモードSパラメータ解析になります。
まとめ
ミックスドモードSパラメータ解析は高周波回路設計の不可欠なスキルであり、Qucsはその実施に役立つ優れたツールです。
この記事を通じて、基本から応用までのスキルを習得し、電子工学の分野での成功に一歩近づけましょう。
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以上です。
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