こんにちは。Noiseです。
Noiseはメーカー勤務でEMCエンジニアとして勤務しています。
今回はiNARTEの試験でも出題確率が高い、ループアンテナの遠方界における磁界強度について解説します。
ループアンテナが放射する電磁波の性質は、遠方界において興味深い変化を見せることが知られています。
本記事では、ループアンテナから離れた点における磁界強度を取り上げ、遠方界における特性に焦点を当てて解説します。
具体的には、磁界強度を表す公式を導出し、その意味と応用について探求していきます。
電磁波の知識やアンテナ技術への理解を深めるために、ぜひご一読ください。
ループアンテナの問題は必ず1問は出るので、しっかり復習しましょう~
この記事を読むとわかること。
- ループアンテナが放射する電磁波の特性は、遠方界において観測点の角度によって磁界強度が変化することがわかる。
- 磁界強度を表す公式を用いることで、観測点からループアンテナまでの距離やアンテナの面積、波数などの要素が磁界強度にどのような影響を及ぼすかが理解できる。
- ループアンテナの遠方界における磁界強度の理解は、通信システムの設計やアンテナの最適配置、電磁環境への影響評価などに応用される重要な知識であることがわかる。
最後まで読んでいただけますと幸いです。
ループアンテナとは
ループアンテナは、導体がループ状に配列されたアンテナであり、無線通信や電波受信などの用途に広く使用されています。
このアンテナの特性は、電流が流れるループによって電磁波が発射・受信されることに基づいています。
簡易的には以下のような構造となっています。
遠方界における磁界強度とは
ループアンテナから十分に離れた場所では、遠方界と呼ばれる領域に到達します。
近傍界、遠方界については以下の記事で解説しています!
遠方界では、電磁波の特性が変化し、特に観測点の角度(θ)によって磁界強度(Hθ)が異なります。
ここでは、観測点の角度が90°の場合を考えます。
θ=90°は以下の点になります。
磁界強度の公式の導出
遠方界において、ループアンテナから離れた距離(R)における磁界強度(Hθ)は、次のような公式で表されます。
ここで、各変数の意味を説明します。
Hθ: 観測点における磁界強度(θは観測点の角度を表す)単位:A/m
I₀: ループアンテナに流れる電流の強度 単位:A
S: ループアンテナの面積 単位:m2
k: 波数(空間における波の伝搬を表す定数) 単位:なし
Z₀: 真空中の特性インピーダンス(空間における電磁波の伝播特性を表す定数) 単位:Ω
R: 観測点までの距離 単位:m
k:波数については以下の記事で解説
各変数を図にあらわすと以下になりますね!
公式の解説と具体例
公式によると、観測点からアンテナまでの距離(R)が増えると、磁界強度(Hθ)は距離の二乗に反比例して減少します。
また、アンテナの面積(S)が大きいほど磁界強度は増加し、波数(k)が大きいほど磁界強度は減少します。
つまり磁界強度を大きくしたい場合は、
- アンテナの面積を大きくする
- 距離を短くする
が有効ですね。
公式から変数との相関性を導き出せれば、さらなる理解につながりますね!
例えば、ループアンテナに電流が流れており、アンテナの面積が一定で、観測点からの距離が2倍になった場合、磁界強度は元の1/4に減少します。
同様に、波数が増加すると磁界強度は減少しますが、これはアンテナの指向性に影響を与えます。
応用と実用性について
ループアンテナの遠方界における磁界強度の理解は、通信システムの設計やアンテナの配置において重要な役割を果たします。
またEMC対策をするうえで、どの変数がどれくらい効果があるかを導き出すことができます。
電磁波の伝搬特性を理解することで、電磁環境への影響評価や無線通信の効率向上にも応用されています。
まとめ
遠方界におけるループアンテナの磁界強度についての公式を用いた解説を行いました。
この公式を理解し、アンテナの性能を最適化することで、より効率的な通信や情報伝送が可能となります。
とても基本的な公式であるのでぜひ理解して、iNARTEの試験に挑みましょ~
【おすすめ書籍】
ループアンテナの理解にとてもおすすめです!
以上です。
面白かった、ためになったという方は、下記をクリックしていただけると励みになりますので、よろしくお願いいたします!
【スポンサーリンク】