EMCエンジニアの休日

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遠方界と近傍界って何?違いや意味を解説

こんにちは。Noiseです。

 

Noiseはメーカー勤務でEMCエンジニアとして勤務しています。

 

久しぶりにEMC関連の記事を書いていきます。

 

今回はEMCの仕事をしていたら一度は聞くことがある、

 

遠方界、近傍界

 

という言葉について、難しい数式は使わずに解説していきます。

 

 

遠方界、近傍界についてイメージとしてとらえることができれば、ノイズ対策をする際、効果的な対策方法をつかむことが可能です!

 

この記事を読むとわかること。

  • 遠方界、近傍界の意味
  • 遠方界近傍界の距離の計算方法

最後まで読んでいただけると幸いです。

 

 

 

遠方界、近傍界とは

用語の意味

まずは用語の意味ですね。

 

電波は周波数に依存して空間のインピーダンスが一定になる距離が変動します。

 

その距離をr(m)と仮定した場合

 

r(m)よりも長い距離を遠方界

r(m)よりも短い距離を近傍界と言います。

 

よって遠方界、近傍界というのは、電波の発生源から受信源までの距離(m)のことを表します。

 

アンテナからアンテナまでの距離ということですね。

 

 

では詳しく説明していきます。

 

空間のインピーダンス

 

空間のインピーダンスという言葉になじみがないかもしれません。

 

波動インピーダンスとも言います。

 

例えば1mの導線の端から端までのインピーダンスを求めようとすると数式で出てきますね。

 

ここでは説明しませんが、インピーダンスなので

 

インピーダンス=R(抵抗成分)+jX(リアクタンス成分) Ω

 

となります。

 

イメージですが空間のインピーダンスとはこれの空間Verですw

 

もちろん電波なので、空間を移動する際に、空間にもインピーダンス(わかりやすくいうと抵抗)が存在します。

 

導線の場合、導体に電気を流すためにインピーダンスがありました。

空間にも同様のものがあるということですね。

 

通常このインピーダンス377Ω(120πΩ)であることが物理上決められています。

 

これを自由空間インピーダンスといいます。

 

この値はZであらわされ、Z=E(電界)/H(磁界)となります。

 

Zは下記でも表すことができます。

 

Z=√μ/ε

 

透磁率誘電率で割ったものにルートした値です。

 

これが真空中であると377Ωになります。

 

遠方界とは

空間のインピーダンスの説明をしました。

 

その値は377Ω(120πΩ)であることもわかりました。

 

ただこの値は遠方界という距離前提です。

 

遠方界、近傍界について検索すると、よくこの図にたどり着くことは多いのではないでしょうか?

引用:近傍界 / 遠方界

この図は縦軸に空間インピーダンス(Ω)

 

横軸にある距離 r を波長 λ で割った値(m)を取ります

どちらも長さを表す単位なので、単位は(m)としておきます

 

ここで横軸がわかりにくいので λ を1mと仮定します。

 

λ=1mということで周波数は

 

f=光速:3*10^8 / λ:1(m)=300MHzとなります。

 

ここでは300MHzの電波を飛ばすことと考えます。

 

そうするとλ=1となるので

 

横軸はアンテナ間の距離になりますね。

 

またグラフ中の二本の線は、アンテナの種類ごとのインピーダンスを表します。

電界源(ダイポールアンテナ)と磁界源(ループアンテナ)のグラフになります。

 

 

 

そう見たときに遠方界とは空間のインピーダンス377Ωに近づく1/2π以上の距離を遠方界と言います。

 

逆に近傍界は1/2π以下の距離を示します。

原理はともかくそうなっているのです。

 

 

以上の定義より、遠方界は電界源、磁界源ともに空間のインピーダンスが377Ωと一定の範囲となる箇所になります。

 

この距離の覚え方は上記の式より波長を2πで割った値と覚えておくと簡単です。

 

2π≒6なのでNoiseは大体で

波長を6で割った距離が遠方界、近傍界が切り替わる距離

と覚えています。

 

 

近傍界とは

ここまでで、遠方界の定義はわかりました。

 

波長を6で割った距離以下が近傍界領域であることもわかりました。

 

では近傍界とはどんな性質があるのか?

 

その範囲のグラフを見てみると、、

 

電界源(ダイポールアンテナ)と磁界源(ループアンテナ)で空間のインピーダンスは異なっています。

 

電界源(ダイポールアンテナ)はインピーダンスが高く

 

磁界源(ループアンテナ)はインピーダンスが低いです。

 

このように使用するアンテナに依存して空間のインピーダンスが異なってくるという特徴を持っているのが近傍界です。

 

通常、電波は距離に反比例して電界強度が下がっていきます。

 

ですがこの近傍界では成り立ちません。

 

理由はグラフのように空間インピーダンスが一定ではないからです。

 

何ともややこしい範囲ですね。。

 

よく近傍界領域では磁界が支配的といいますが、その理由もこのグラフから見えてきます。

 

そう近傍界領域では電界源(ダイポールアンテナ)の空間インピーダンスは高いのです。

 

インピーダンスが高い=抵抗が大きい=電波は伝わりずらい。

 

逆に磁界源(ループアンテナ)は

インピーダンスが低い=抵抗が小さい=電波が伝わりやすい。

 

という理由で、近傍界領域は磁界が支配的となっています。

まとめ

ということで今回は近傍界、遠方界の定義についてまとめていきました。

 

少し長くなったのでここで切りますが、次回は別の記事で遠方界、近傍界を切り分けた場合のノイズ対策について書いていこうと思います。

 

電波の面白いところは波長には長さがあり、周波数に依存して長さが変わる。

 

よって送信者と受信者の距離の違いにより、空間のインピーダンスが変化していくところですね。

 

最初はわかりにくいところもあるかと思いますが、簡単な計算で境目の距離を出すことができるのです。

 

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以上です。

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