こんにちは。Noiseです。
Noiseはメーカー勤務でEMCエンジニアとして勤務しています。
今回はiNARTEの試験で出題率が高い、板材シールド効果について解説していきます。
本記事では、板材シールド効果に焦点を当て、特に反射損と呼ばれる指標を解析する公式について探求していきます。
板材シールド効果の基本的な理解から具体的な応用事例までを網羅し、電子機器設計や信号の管理における重要性を明らかにしていきます。
シールド効果はEMCエンジニアにとって必須項目ですね~!
この記事を読むとわかること。
- 板材シールド効果とは、電磁波や電気信号が板状の物質に当たった際に、その板によって電磁波が反射、吸収、または透過される現象である。
- 反射損は板材シールド効果の指標であり、電磁波が板材に当たった際に生じる信号の損失を表す。公式を用いて反射損を定量的に評価できる。
- 板材シールド効果の理解は、電子機器の設計や電磁波の管理において重要であり、適切な板材を選定することで電子機器の性能向上や信頼性の確保に貢献することができる。
最後まで読んでいただけますと幸いです。
板材シールド効果とは?
板材シールド効果とは、電磁波や電気信号が板状の物質(例えば金属板やコンクリート壁など)に当たった際に、その板によって電磁波が反射、吸収、または透過される現象のことを指します。
特に、電磁波の高周波成分が板内部に侵入することを防ぐために用いられることが多く、電子機器の周囲の電磁波の影響を遮断する目的で用いられることもあります。
反射損とは?
反射損は、電磁波が板材に当たった際に、板材の特性によって反射されることで生じる信号の損失を表す指標です。
反射損は一般的にdB(デシベル)単位で表現され、負の値を取ります。
dBについて解説した記事は以下になります!
反射損が大きい場合、板材からの反射が強くなり、望まない干渉や信号の劣化が発生する可能性があります。
反射損の公式:SE=20log10(1+Z0σd/2)
反射損を定量的に評価するための公式として、SE(Shielding Effectiveness)の式が用いられます。
SEは以下の式で表されます:
ここで、
SE:板材のシールド効果(反射損)[dB]
Z0:空間の特性インピーダンス(377Ωは空気中の典型的な値)
σ:板材の導電率(S/m)
d:板材の厚さ(m)
空間のインピーダンスを示す遠方界、近傍界については以下の記事で紹介しています
この公式によって、板材の導電率と厚さの関係を考慮して、反射損を評価することが可能となります。
公式を用いた具体的な解析例
例として、
特定の板材の導電率がσ = 1.5 × 10^6 S/m
板材の厚さがd = 2 mm
の場合を考えてみましょう。
これを下記の公式に当てはめると
SE = 20log10(1 + (377 × 1.5 × 10^6 × 0.002)/2)
SE = 20log10(1 + 565487)
SE = 20log10(565788)
SE ≈ 115 dB
このように、計算によって得られたSEの値が115 dBとなりました。
この結果から、この板材によるシールド効果がかなり高いことが分かります。
板材シールド効果の応用と重要性
板材シールド効果の理解は、電子機器の設計や電磁波の管理において非常に重要です。
特に高周波信号の取り扱いが増える中で、周囲の電磁波から機器を保護する必要性が高まっています。
適切な板材を選定し、反射損を適切に評価することで、電子機器の性能向上や信頼性の確保に貢献することができるでしょう。
まとめ
今回は、板材シールド効果について解説してきました。
板材シールド効果は、電磁波や電気信号が板状の物質に当たった際に、その板によって電磁波が反射、吸収、または透過される現象です。
板材シールド効果の評価においては、反射損が重要な指標となります。
反射損は、板材に当たった電磁波がどれだけ損失するかを示す値であり、高い反射損を持つ板材ほど効果的なシールドとして利用されます。
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以上です。
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